Vol.07 ロックンロールの風穴

レッドウォーリアーズでデビューしてからまるで何かにとりつかれたかのようにロックの快進撃を続けた。
だが決して世間が最初から僕らを迎えてくれていたわけじゃなくていつも逆風の中を爆走するっていう感じで世の中に対していつも嫌悪感を持っていたんだな。
当時のボウイやブルーハーツのように誰にでも求められてるって感じじゃなかったんだ。テレビに出りゃ態度が悪いと言われ、イベントに出りゃガラが悪いと、言われれば言われるほどこなくそと思いますますガラが悪くなっていった。
いい気になってのさばってる芸能界や世間にはいつだって怒りを持っていた。しかしその反面、世の中にむしゃくしゃしてた若者の代弁者にでもなったかのように、悪いイメージがつけばつくほどファンは増えていった。そしてその悪態もいつしか自然に様になってくるから不思議なものだね。
先のことは分からない、目の前のものはみんな破壊しろっていうロックの不良性を馬鹿な僕らは心底愛し信じていたんだ。
でもまさかロックすることがこんなにモテるなんて思ってもなかったし武道館や野球場で歌うなんてこれっぽちも思わなかった。上を目指し訳も分からずに無我夢中で急な階段を全力疾走で登って行った。
この3年間のお陰で今の僕がいるんだと思うこともあるが、正直言って突っ走っていたから、たとえそれがロックの頂上にいたとしてもぜんぜん楽しむこともできずに覚えていないことさえある。
ただひとつだけ言えるとしたらあの時、時代に風穴を開けた実感だけはこの手の感触に残っている。歌謡全盛の世界に70年代のフォークブームが金字塔を打ち立てたように、今度は80年代の半ばロックで芸能界のどてっぱらに風穴を開けたんだ。
気がついたらロックバンドのほとんどがレッズのあとについて来た。いい気になっていた。天狗になっていた。錯覚だが怖いものもなかった時さえある。
当時の僕らの目指すロックは決して正義の味方ではなくてあくまでも悪者のヒーロー。アンチテーゼ。最高の美学は破滅を目指すこと。そしてロックのカッコいいところはすべてやり尽くしてしまった。これ以上快進撃して大きくなり続けると正義の味方を求められてしまう。結局、解散するか不幸な死を遂げるかしか残っていなかったのかもしれない。解散はロックの美学を走り出した時から決まっていたのかもしれない。
少なくともまだ27歳のくそガキな若造にはそんな風にカッコつけることくらいしか考えられなかったんだな。