Vol.03 ホンキートンクR&Rバンド結成

埼玉の大宮、と言ってもその遥か東の方にある中学に通っていた。当時からカッコ付けで女には目もくれない硬派を演じていた。

もちろんそんな調子だったから高校は男子校に行くことになる。しかも東京の杉並にある某私立高校だ。とても規律が厳しく頭髪検査や生活指導が限度をこえていた。それが後にロッカーユカイの大爆発を生むことになるなんて思ってもみなかったけどね。
まあしかし高校1年という時は誰でも初々しい気持ちが少しでもあるときたもんだ。埼玉の近所に住んで杉並まで通っていた大島という奴と友達になった。

大島は当時から自由な奴でまあ悪く言えば不良ってことかな?もうすでにビートルズにのめり込んでた僕は大島にビートルズの歴史、エピソードやもちろん音楽なんかを毎日のように語り倒した。
やがてその大島も当然の如くビートルズ信者になっていった。
「バンドを作ろう。俺がジョンで君がポールだ。」「いや違う俺がジョンでお前がポールだろう。ビートルズを教えたのは俺じゃないか!」
なんてくだらない言い争いはあったけどメンバーを集めることになった。
当時高校でギターが弾けるやつなんてそうたくさんいるわけじゃなく噂はすぐ広まるから、ひとつずつしらみつぶしにしていけばいい。
最初は大島が神谷という奴を連れてきた(後に漫画家になったらしい)。エレキも持っててビートルズが好きだった。
大島も僕もお互いボーカル中心だったんでリードギターでしかもチョーキングなんてやられた日にゃ「おおすげえ。」なんて最初は何にでも驚いてしまったもんだ。しかし奴は陸上部が忙しくて却下になった。
その後となりのクラスに天才ギタリストがいるっていう噂を聞いて会ってみた。杉木って奴でケーキ屋の息子だ。
ハイウェイスターをいとも簡単に弾きこなしたのを見て「こいつはすげえ。」なんて僕も大島も目が点になってしまった。
「こいつとバンド組もうぜ。」と僕が言うと大島がクールな目で鏡を眺めながら「よく鏡の前の俺達の顔をみてみろよ。田所の歌と俺のハーモニーはイカすけど何かが足りないと思わないか?」
僕が不思議な顔をしてると大島が 「ルックスだよ。俺達は野生的だけど決してハンサムじゃないだろ。どのバンドでも一人くらいハンサムな奴がいなくちゃ成り立たないってなもんだぜ。」
てな訳で大島の一声に同意した自分も自分だけどこれは大島の意見というよりは当時流行っていた矢沢栄吉の成り上がりっていう本に書いてあったことをなぞっただけだったんだが、ルックスで杉木を却下して(杉木ごめん)、また新しいハンサムギタリストを探すことになった。
しかし僕らのバイタリティーは凄いもんで今度は郷ひろみに似ててまたまたギターもうまい圭一を見つけ出した。
大島も「圭一ならルックスも申し分ないしキャロルでいったらうっちゃんてところでいいんじゃないかな。」ということでやっとリードギタリストが決まりドラムは僕の中学の同級生の山崎に頼むことに。
「シルバービートルズみたいに皮ジャンを着ようぜ。」と大島が大きく捲くし立てたものの当時はみんな金がなくて泣く泣くビニールジャンで我慢することに。

最初からビートルズ一辺倒の僕と大島、かっこいい流行もんが好きな山崎、ロックはブルースだよと主張する圭一の間には溝があった。大島がリハーサルをサボるようになって僕は圭一と接近することになる。
そしてビートルズ一辺倒だったんだけどクリーム、フー、ツェッペリン、そしてストーンズなんかに興味を持ち始めた。
しばらくはギターやベースを弾きながら歌ったりしていたけどある時にスト−ンズのフィルムコンサートを観に行って(当時はビデオが一般ではあまり普及してなくてフィルムコンサートが頻繁におこなわれてた。)「これだ!俺の目指すべきスタイルは!」とミックジャガーのようなスタイルのボーカリストに目覚めた。
ステージパフォーマンスとしかも歌に専念できたしど真ん中で一番目立つし一石二鳥だ。
圭一も「キースはかっこいいね。」なんて言って大島がベースで杉木がセカンドギター。ドラムにはフュージョンをやってて山崎よりうまい石塚を加え、ビートルズからストーンズ色の強いホンキートンクR&Rバンド(分かりやすいね。)が結成された。

後にこのバンドは5年くらい活動を続けることになる。ある意味で音楽的にも最初のバンドらしいバンドだったかな(笑)